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坂宇場の花
Fri.23.12.2011 Posted in 愛知県
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 愛知県北設楽郡豊根村坂宇場にて、11月最終土曜日日曜日に行われる坂宇場の花に、平成22年、平成23年の二回探訪に行った。これまでは隣接する東栄町の花を中心に探訪していたため、本格的に豊根村の花を探訪することに、非常に楽しみにして訪問した。
 豊根村は奥三河でも最北に位置し、山の奥深い隠れ里である。坂宇場集落は豊根村で標高の高い茶臼山に近く、標高の高い集落である。
 花は、一般的には「花祭」と呼ばれている神楽で、三遠南信に広く分布する「霜月神楽」である。花は、奥三河地域で現在15地区において伝承されている。花の詳細は、早川孝太郎の著書「花祭」に詳しいのでそちらを参照されたい。
 坂宇場の花は、地域の社である八幡神社の境内にある舞堂と呼ばれる建物で行われる。東栄町の花の殆どが公民館などを花宿にするのに対して対照的である。

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DSC_sakauba0002 posted by (C)dankichi0423
(坂宇場の花 舞庭 )

 舞堂に、舞庭(まいど)とよばれる空間を設営し、天井中央にはびゃっけを中心に、立願者の添え花、また四方にはざぜちが装飾される。びゃっけに多くの立願者による添え花があり、赤青紫白黄の切り紙が映えて美しい。舞庭の中央には竃が据えられて、神座(かんざ)を背面にして竃の前を正面としている。竃は五徳式である。
 坂宇場の花の次第は以下のとおりである。

 〇神事  1.ばちの舞 2.湯立て神事 3.しずめ 4.外道祓い
 〇舞   5.地固め(扇・棒塚・剣) 6.花の舞(扇、盆、湯桶) 7.舞上げ(三つ舞扇に同じ)
       8.一の舞 9.山見鬼 10.三つ舞(扇・棒塚・剣) 11.榊鬼
      12.火のねぎ.すりこぎ・しゃもじ.みこ・おきな(現在はすりこぎ・しゃもじのみ) 
      13.四つ舞(扇・棒塚・剣) 14.湯ばやし 15.朝鬼 16.獅子
      (花の舞から榊鬼にかけて、宝の舞がはさまれる)

 午後3時半頃、舞庭に御座が敷かれ、ばちの舞が始まる。舞い手は壮年の男性で、ゆったりと舞われる。引き続き、神職により湯立て神事が行われる。滝の水が釜に注がれ、祓い清められる。その後、数人の宮人が笹を持ち、釜の周りを囲み、釜の湯に笹を付けて撥ねる。次いで五方に向き、同じく笹で湯を撥ねる。

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DSC_sakauba0014 posted by (C)dankichi0423
(坂宇場の花 「しずめ」)

 その後、八幡神社拝殿にてしずめが行われる。しずめは通常すべての行事が終わった後、神々を鎮め、お帰り頂く神事なのだが、坂宇場はじめ、上黒川では、神事の初めに行われるのである。その理由は良く分かっていないが、前出の早川の「花祭」によると「もっともこれは明治初年以降の改革であるというが、この改革にもなんらかのよりどころあったかともおもわれるのである」とある。これは私見だが、重要な神事だけ継続できるようにしたのかもしれない。
しずめは、「ひのおう」「みずのう」の二神により、五方で反閇を踏み、「ひのおう」が太刀を、「みずおう」が柄杓をもち、祓い清める厳粛な神事である。それが終わると、「ひのおう」は面を外した後、神社入り口にて太刀を振る。これが、外道祓いである。しずめが終わる頃、舞堂はすっかり日が暮れて真っ暗である。
 神事の後、夕食でしばし休憩であったので、会所でもらった食券で五平餅と焼き鳥を貰い、日本酒と一緒に頂いた。
 午後6時頃、地固めの舞から始まる。ここで、突然カルチャーショックを受けた。まず、舞が東栄町の花と全く違うのだ。一番の特徴は、舞い手が、東栄町の花では竃の周りを三角形もしくは円形に回るのに対して、坂宇場では舞庭を真四角に動くのだ。これはその後の花の舞、三つ舞、四つ舞も同様であった。そして、囃し方が東栄町の花と全く異なるのだ。東栄町は「トーホヘトーホ トヘテーホトーヘ テホトーヘトーヘ」「トホヘーテホヘ テホトヘテホヘ」なのに対して、「トーヒャラヒャ トーヘ トヒャーヒャラホー ヒャーラヒャ」「テントン テントン ヒャーラヒャー トホーヘ テホヘ テホーヘ テホヘ」「ハオーハ ハオハ ハオーハ ハオハ」・・・といった具合である。多少戸惑いつつも、舞庭にいっしょに囃していて、次第次第に舞庭の雰囲気に馴染んでいった。

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DSC_sakauba0037 posted by (C)dankichi0423
(坂宇場の花 「花の舞扇」 花の如く美しい)

 花の舞の頃には、舞庭には多くの見物人が集まってきた。舞い手は幼稚園位から小学校中学年の子供達「テホトヘテホヘ ハオハーハオハーハーオハハオハ」と皆で囃して励まし、子供たちも大人に助けられながら、一生懸命に舞う。いつもながら花の舞は、花の如く美しい。
 一の舞は、青年が両手に笹を持ち、躍動感あふれる舞を舞う。舞庭は何やらそわそわしている。何かを待っているのだ。突然舞い手が笹で人々をはらい始めた!「トーヒャヒャトヒャヒャ!」囃し声と共に、舞い手もヒートアップし、はらう笹は人をしばくようでもある。同時に舞庭は悲鳴のような歓喜の声が起こる!

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DSC_sakauba0063 posted by (C)dankichi0423
(坂宇場の花 「山見鬼」)

 やがて伴鬼が舞庭に出てくると「トーホヘテーホヘット テーホトーヘ トヒャヒャット!」と囃す声が観客から次々と発せされる。やがてその声に誘われるかのように、山見鬼が舞庭におりてくる。山見鬼は舞庭の五方を睨み、へんべと呼ばれる反閇を踏んで、舞庭を去る。
 山見鬼が終わる頃は日付も変わり、標高が高いため、舞庭は大変冷える。観客も外のたき火で温まっているほどだ。「兄さん、酒飲みん!」集落の方が日本酒を進めて下さる。酒を飲むと体が火照ってくるので非常にありがたい。「ありがっさま!」と頂戴する。

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DSC_sakauba0072 posted by (C)dankichi0423
(坂宇場の花 「三つ舞棒塚」 ハンヤで懸命に舞う)

 三つ舞は少年少女が舞う。少女と書いたが、奥三河では少子高齢化が進み、舞い手を始め担い手不足が深刻なのである。したがって従来は男子のみによる花が、近年では女性にも門戸が開放されているのだ。この三つ舞、一番の見どころは、ハンヤと呼ばれる「五拍子の舞」である。この舞は太刀などの採り物を屈伸しつつかぶりこんだり、最も勇壮かつ困難な舞で、少年少女にとっては試練の舞である。「サーガリサガリだ!」「トーホヘハンヤ!」と人々が囃し励ます中、懸命に舞い上げるのだ!

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DSC_sakauba0090 posted by (C)dankichi0423
(坂宇場の花 「榊鬼」)

 三つ舞が終わるといよいよ榊鬼のお出ましである。榊鬼が舞庭に現れると、舞庭は再び熱気に包まれる。榊鬼は鉞を手に威風堂々舞庭を巡る。五方を睨んでいると、宮人に咎められ問答を行う。榊鬼はやがて、へんべを行う。へんべの時には筵をおき、その上を踏む。榊鬼は手に持つ鉞で、その目を照らしていた松火を叩き落とす。火の粉が散り、煙が立ち込め、騒然となる。混沌とした中、榊鬼は舞庭から去る。
 榊鬼が去ると「すりこぎしゃもじ」が現れる。奴らは味噌をあたりかまわず塗りたくる。「ヒャーラヒャラヒャーラヒャ テコテコヒャーラヒャヒャーラヒャーラヒャーラヒャ」と囃したてながら、みんな味噌まみれである。

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DSC_sakauba0119 posted by (C)dankichi0423
(坂宇場の花 「湯ばやし」湯がほとばしり、湯けむりで白む)

 四つ舞が終わり、夜が白みはじめた頃、舞庭が人で溢れかえる。いよいよ湯ばやしである。湯たぶさを持つ若者が現れ舞い始めると、観客みな湯が浴びせられるのをいつか何時かと待ちわびるのである。舞上げ舞上げ、見物の若い衆が上半身裸になりだした。すなわち湯が浴びせられる合図である。舞庭のエネルギーは頂点を迎える。さあ片手湯立てだ、さあゆたぶさを釜につけたぞ、まだか、まだか・・・
 「トーハーハトハハ!」っと囃すと同時に湯がほとばしった!舞い手たちが湯を浴びせたのだ。裸の見物達もゆたぶさで湯をところ構わず浴びせはじめ、舞庭は混沌としている。やがて釜の湯がなくなり舞庭は湯気で真っ白だ。拍手の中、舞い手は礼をして舞庭を去った。
 舞庭におがくずがまかれ、朝鬼が登場した。朝鬼は五方を睨んだ後、まさかりでびゃっけを「バリバリ」と音を立てて落とした。びゃっけの飾りは、観客に配られた。最後の獅子、舞庭を巡り、笹で湯を撥ね、最後は寝ころび、虱をとるしぐさをする。これは豊根の特徴のようである。獅子が去り、花がすべて終わった。
 日がさすも冷える舞庭周辺は、霜が降りていた。



※この度の写真掲載に当たり、坂宇場花祭保存会(会所の方)に了解確認の上、掲載を承諾くださいました。この場を借りて御礼申し上げます。







 
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