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足込の花
Thu.28.02.2013 Posted in 愛知県
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  愛知県北設楽郡東栄町足込で、11月最終土曜日日曜日に行われる足込の花に、平成20年、平成21年、平成24年の三度探訪した。
  北設楽郡東栄町足込は、愛知県の北東、奥三河と呼ばれる地域に位置する、山深く高標高の集落である。
  花は、一般的には「花祭」と呼ばれている神楽で、三遠南信に広く分布する「霜月神楽」である。花は、一年を経て穢れ衰えた人間の心身を、勧請した神々と交遊することで清めを受け、新たな生命力が得られるとされる再生のおまつりである。花は、奥三河地域に現在足込を含めた15地区において伝承されている。花の詳細は、早川孝太郎の著書「花祭」に詳しいのでそちらを参照されたい。
  足込の花では、足込集会所を会場として、舞庭(まいど)とよばれる空間を設営し、天井中央にはびゃっけ、一力花、また四方にはざぜちが装飾される。舞庭の中央には竃が据えられて、神座(かんざ)を背面にして竃の前を正面としている。竃は三方土で塗り固めたものである。

 足込の花の次第は以下のとおりである。

 〇神事 1.滝祓い 2.辻固め 3.高嶺祭り 4.神入り 5.天の祭り 
     6.四季ばやし、さるごばやし、とうごばやし 7.竃祓い 8.湯立て 9.惣しめおろし
 〇舞  10.ばちの舞 10.順の舞 11.市の舞 12.地固め(扇・ヤチ・剣) 
     13.花の舞(扇、盆、湯桶)※舞ごとに舞上げがある 
     14.山見鬼 15.三つ舞(扇・ヤチ・剣)
      16.榊鬼 17.火のねぎ、みこ 18.岩戸の舞 19.四つ舞(扇・ヤチ・剣)
      20.翁 21.湯ばやし 22.茂吉鬼 23.獅子
 〇神事 24.ひいなおろし 25.しずめ 26.花そだて 27.宮渡り 28.げくう祭り
      29.五方立 30.大将軍祭 31.外道がり

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DSC_ashi0001 posted by (C)dankichi0423
(足込の花 舞庭 趣のある風情)

  夕刻、辺りが暗くなり始めた頃、花宿に到着した。薄暗い中、裸電球の灯に照らされた舞庭は、風情ある昔ながらの花宿を想起させる趣深いものであった。その時、高嶺祭りを終えた花太夫、宮人が舞庭に戻り、神部屋で唱え事をしたのち、「いーりませや いかなる神もいーりそめーて・・・」と唱えながら、神入りを行い、神座、神部屋は神聖なものとなった。その後、花太夫、宮人は屋根裏へと向かい、天の祭りを行った。

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DSC_ashi0003 posted by (C)dankichi0423
(足込の花 竃祓い 湯立て)

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DSC_ashi0011 posted by (C)dankichi0423
(足込の花 撥の舞)

  天の祭りを終えた花太夫と宮人は、竃の正面に来て、竃祓い、湯立てを行った。神事の一つ一つが丁寧かつ厳粛で、花太夫が、「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前!!!」と唱えられたときには、脳天を打ち抜かれ、体が引き締まる思いであった。引き続き、花太夫による撥の舞は、流麗な笛の中、流れるように身をこなし、手に採った撥を清められていた。
  ここで、一度休憩となり、花太夫以下足込の方々は、せんじで夕食をとる。その時、御見舞を出していた人も一緒にどうぞと促されて、私もせんじで、けんちんと漬物、ご飯、そして日本酒の接待を受けた。けんちんと白いご飯と日本酒は大変うまかった。

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DSC_ashi0014 posted by (C)dankichi0423
(足込の花 順の舞)

  ここまでが神事で、いよいよ舞である舞の魁は、宮人による順の舞である。やや褪せた緑色のゆはぎを着て烏帽子をかぶった宮人は手に鈴と扇を採り、竈の正面で五方に舞った。舞自体は素朴で、まだここまでが神事といってもいいかもしれない舞であった。

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(足込の花 市の舞)

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(足込の花 市の舞)

  次いで、市の舞。青少年の舞上手により三折舞われる。右手に鈴、左手に扇と榊を採る。鈴は鳴らさぬようミュートする。扇と鈴を耳の辺りにあげて、前かがみ気味に現れ、竃の前を一周する。竃に向かって一礼し、両手を開き右・左・右と体を捻りながら、足を高く上げて足踏みをする。まるで鶴が舞うが如くである。これを繰り返し、やがて、鈴を鳴らし始め、拍子が変わるとともに、跳躍する。正面を始め五か所で跳躍し、最後竈の前で一礼し、退場する。流石舞上手、美しい舞であった。

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(足込の花 地固め 扇)

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DSC_ashi0036 posted by (C)dankichi0423
(足込の花 地固め 剣 女性が舞う美しい舞)

  地固めは、扇・ヤチ・剣の三折が舞われる。それぞれの舞に、先ほどの市の舞の舞上手が入る。女人禁制といわれる花も、近年は後継者不足で女性が入ることが珍しくなくなった。しかしそれでも、花の舞に女の子が入る地区が殆どであったが、足込では、剣の手で、少女が舞っていた。しかも、大変舞が美しく上手である。馬鹿な男、女性にほだされたか、思わず見惚れてしまった。地固めの頃から、観客も増えてきて、他所の地区のせいと衆がちらほらとやってきた。

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(足込の花 花の舞 扇)

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(足込の花 花の舞 扇)

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(足込の花 花の舞 扇)

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(足込の花 花の舞 扇)

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(足込の花 舞上げ)

  子供達の舞う花の舞、扇の手では、白いゆはぎを着た大人が舞い手を背負って、舞庭に導く。神聖な神の存在なのである。まだ幼さが残る子供たちの舞に、皆「わあー」というため息を漏らす。そしてがんばれがんばれとばかりに「トーホヘトーホ トヘテーホトーヘ テホトーヘトーヘ」と囃すのである。舞庭は、歓喜の坩堝である。やがて一生懸命に舞上げた子供達には、「よう舞ったー!」と大きな拍手が送られた。
  花の舞の後は、舞い手を背負った大人による舞上げが舞われる。大人の殆どが舞い手の父親であり、「やい!ちゃっとまえよ!」とせいと衆から声援が送られる。

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DSC_ashi0061 posted by (C)dankichi0423
(足込の花 山見鬼)

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DSC_ashi0064 posted by (C)dankichi0423
(足込の花 山見鬼 山割り)

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DSC_ashi0065 posted by (C)dankichi0423
(足込の花 山見鬼 さんざんに舞わされる伴鬼)

   「トーホヘテーホヘ トーホヘテーホヘ テーホトーヘトホヘ テーホトーヘトーホーへ!」様々なお顔をした鬼様が、めいめいに舞いだす。「やい!〇〇!おめえ何年舞っとるんだ?腰が引けとるぞん!」とせいと衆に、実名で悪態をつかれる伴鬼。いよいよせいと衆も酒がまわりはじめて、悪態は本領発揮してきた。そう、花は「悪態祭り」ともいわれ、昔は悪態の名人達が知恵を絞って、悪態の応酬をしたとか。今では少なくなったが、せいと衆の悪態は欠かせない。「やい!拍子のって舞えよ。テホヘっと!」「やい、おの鬼はギャルがいるに張りきっとるぞん!はははは。」そうやってとことん舞わされる伴鬼たちは、ヘトヘトになったら、さらに拍子をあげて、舞わされる。もうたまったものではない。どんどん伴鬼が登場し、せいと衆も観客も歓喜し、舞庭の熱気はピークとなる。
  やがて拍子が変わり、泰然と青黒い顔をした鬼様が現れた。山見鬼である。「トーホヘテーホヘ トーホヘテーホヘ テーホトーヘトホヘ テーホトーヘトーホーへ!」山見鬼の登場で、せいと衆や観客も落ち着きを取り戻し、ゆったりとした符丁に変わる。山見鬼は大きな鉞を右手左手と持ち変えながら、五方を見る。そして竈の周りを廻り、五方を見る。見るというより、睨むという表現が適切であろうか。やがて、山見鬼と伴鬼は足を竃にかけて、鉞を振り下ろす「山を割る」のである。山見鬼は五方を睨むことからいわれ、また、山を割る様子から「山割鬼」ともいわれる。やがて山見鬼は、舞庭を去った。その後、伴鬼たちは最後の力を振り絞らんかぎりに舞わされた。

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DSC_ashi0067 posted by (C)dankichi0423
(足込の花 三つ舞 扇)

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(足込の花 三つ舞 ヤチ)

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DSC_ashi0076 posted by (C)dankichi0423
(足込の花 三つ舞 剣 せいと衆に野次られる)

  三つ舞の扇・ヤチ・剣になると、観客は少し休憩にはいるのか、少なくなるが、せいと衆は酒をあおりながら見物して「やい!拍子のって舞えよ!」「一番(舞い手の順番をいう)頑張れよ!」などと、声援を送るかと思えば、誰かのTVカメラを動かして「笑顔ちょうだい笑顔!いいねいいねー。」などとちょっかいも出し始める。そうかと思えば、酔っぱらいのおじいが地元の方に卑猥な言葉をかけてへらへらしてたら、べつのせいと衆に「テホヘっと!」とまぐわる仕草で応酬され「ワ―!キャー!」「ツンツンと!」もう舞い手の応援なのかどうかわからないけど、面白い。そんな中も少年少女たちは精一杯舞う。三つ舞は「テロレ」という「ためこみ」「きっさき」などという舞が加わり、若い彼らにとっても試練の場面である。さっきまでふざけていたせいと衆も「がんばれがんばれ!」「テホトヘ テホヘ テホトヘ テホヘ・・・」と声援を送る。花では一見風変わりなせいと衆も、大変ありがたい存在なのである。「テロレ」を舞上げ、「三つ舞を舞い上ぐるは千早降る・・・」と拍子が変わると「よう舞った!」と大きな拍手が送られた。

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(足込の花 榊鬼 可愛い伴鬼)

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(足込の花 榊鬼 テーホーヘっとぉ!!!)

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(足込の花 榊鬼 タイの火を交換する)

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(足込の花 榊鬼 )

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(足込の花 榊鬼 )

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(足込の花 榊鬼 山を割る)

  三つ舞が終わる頃、再びせいと衆と観客が増え始めた。「トーホヘテーホヘ トーホヘテーホヘ テーホトーヘトホヘ テーホトーヘトーホーへ!」様々なお顔をした鬼様が、めいめいに舞いだす。せいと衆が悪態をつくのは山見鬼の時と同じだ。小さな子供の鬼様も現れ、舞庭は和んだ。やや広めの舞庭は大勢でごった返し、地元や近隣からの応援による消防団が整理にあたる。花祭は最近注目を浴び、観客が増えた。と共にマナーの悪さも目立つ。そんな中、観客を整然と整理してくださる消防団の存在は大変大きい。本当にご苦労様である。せいと衆の悪態、そして「トーホヘテーホヘ トーホヘテーホヘ テーホトーヘトホヘ テーホトーヘトーホーへ!」舞庭は大いに盛り上がる。
  やがて拍子が変わり、赤い大きな鬼様が現れた。榊鬼の登場だ。。「トーホヘテーホヘ トーホヘテーホヘ テーホトーヘトホヘ テーホトーヘトーホーへ!」榊鬼の登場で、せいと衆や観客も落ち着きを取り戻し、ゆったりとした符丁に変わる。榊鬼は大きな鉞を右手左手と持ち変えながら、五方を睨む。そして竈の周りを廻り、五方を睨む。やがて竈の正面に戻ると、榊を持った花太夫に榊で背を叩かれ「やいやい汝はなにものでさぶらうか?」と問答が始まる。榊鬼は荒ぶる態で鉞を持ちかえて花太夫の方を向き「吾等が事にてさぶらうか?」と再び背を向ける。花太夫は榊鬼と歳比べして、榊鬼は「四万歳負けてさぶらう。」と問答に負ける。花太夫は榊鬼に榊を差出し榊を引かせる。「・・・引いても引かれぬこの榊・・・」問答が終わると榊鬼は榊を投げ出し、竃の正面でへんべを踏む。そして、榊鬼と伴鬼は足を竃にかけて、鉞を振り下ろす「山を割る」のである。かつて山を割る時、腕だけで山を割るな、からだでわれといわれたと云う。これは、山での開拓の苦労を伝えるものであろうか。やがて、榊鬼は舞庭を去った。

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(足込の花 岩戸の舞 みそぬり)

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(足込の花 岩戸の舞 みそぬり 動きが素早い、習った獲物は逃さない(笑))

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(足込の花 岩戸の舞 おかめ まぐわう)

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(足込の花 岩戸の舞 みこ)

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(足込の花 岩戸の舞 おかめ まぐわう)

  舞庭には、奇妙な面相の面が現れた。みそぬりとめしぬりである。「ワー!キャー!」舞庭はとたんに喚声があふれる。逃げ回る者もでて、味噌塗りが追っかける・・・舞庭はもう喧噪状態である。そのなかひのねぎが現れ、五方を舞って去る。すると、今度はおたふくが二人現れた。一人は腹が大きく孕んでいる。観客にちょっかいを出し。まぐわう。せいと衆も、「テホヘっと!」と後ろからまぐわいおたふくもそれに応える。もう何が何だか・・・その中、静々とみこが現れる。足込のみこは、福々しいお顔をされている。喧噪のなか、静かにゆったりと舞い、去って行った。これが「岩戸開き」といわれる。

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DSC_ashi0108 posted by (C)dankichi0423
(足込の花 四つ舞 扇)

  舞庭も冷え込みが厳しくなり、外も夜が白み始めた。先ほどまで元気だったせいと衆も、どこへ行ったのだろうか。観客も眠りだしている。花はこの地域の「霜月神楽」でよくいわれる「寒い・眠い・煙い」のだ。そんな中、四つ舞の扇・ヤチ・剣が始まった。四つ舞は一折一時間はかかる最も困難な舞である。舞上手がこれにあたるが、流石の舞上手も、ヘトヘトで、途中水をもらったり、みかんをもらったりして、舞上げた。

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DSC_ashi0138 posted by (C)dankichi0423
(足込の花 四つ舞 翁 問答で笑いが起こる)

  舞庭には、黒い翁が現れた。翁は花太夫と問答をする。毎年毎年花の見物のためにはるばる現れるのである。本当にご苦労様である。問答は、挨拶から始まり、何しに来たと聞き、花見物に来たと翁は答える。すると、花太夫は、楽(太鼓)、笛、おとな衆、女郎衆、最後は「しょう座まん座五百軒づらありと御礼を申す」と御礼をするのである。形式は決まっているが、アドリブもはいり大変面白い。この頃から、観客、せいと衆がまた舞庭に戻ってくるのである。

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DSC_ashi0142 posted by (C)dankichi0423
(足込の花 湯ばやし)

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(足込の花 湯ばやし 舞い手もせいと衆も盛り上がる)

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(足込の花 湯ばやし 湯の飛沫が飛び散る)

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DSC_ashi0157 posted by (C)dankichi0423
(足込の花 湯ばやし からすとび 最後の力を振り絞って)

  竈に滝の水が入れられ、火がくべられた。いよいよ湯ばやしである。湯ばやしは、少年4人の舞い手がゆたぶさを手に採り、一時間にわたって舞う。舞庭には大勢の観客とせいと衆がいて、「トーホヘトーホ トーホヘトーホ トヘテーホトーへ テホトーヘトーヘ…」と割れんばかりの大声で囃しているのである。それに応えて少年達は、懸命に舞う、舞う、舞う。拍子が変わると観客、せいと衆は「トーラホーラトーラホ トーラホーラトーラホ トーホヘテーホヘ テホトヘテホヘ テホヘーテホヘ テンテントントン トーラホーラトーラホ トーラホーラトーラホ…」と囃す。「パシンパシン!」少年たちも、手に採るゆたぶさを打ち鳴らしつつ、ひたすらに舞う。「はい!テントンテントン ホーラホ トーラホーラホーラホ!」少年たちは、竈の周りに立ち、ゆたぶさをくねらせるような舞に変わると、囃子も変わる。いよいよ「その時」が近づいてきたのだ。そして蓋が開けられた。皆「その時」を待っている。「はい!テントンテントン ホーラホ トーラホーラホーラホ!」そのうち舞い手の一番手が、ゆたぶさに湯を浸し、神座から順に四方に湯をかける。いよいよ「その時」だ。「ウワァー!!!」湯の飛沫が舞庭の四方八方に飛び散る。舞い手はゆたぶさに湯を浸しては、あたりに湯を浴びせる。中にはお湯をかけられている人もいる。湯がなくなると、少年たちは「からすとび」という、うさぎ跳びのような舞をする「がんばれがんばれ!」と声が掛かる。まさに最後の試練の舞だ。舞い上げると、皆ホッとしたような雰囲気となり、少年たちが最後に一礼すると、「よう舞った!」と大きな拍手が送られた。

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DSC_ashi0162 posted by (C)dankichi0423
(足込の花 茂吉鬼)

  その後びしょぬれになった舞庭に藁が敷かれて、茂吉鬼となる。茂吉鬼は、朝鬼ともいうが、足込の場合、朝鬼という白鬼が別にいて、茂吉鬼は、とても鬼に見えない、面相である。これには、修験の陰陽五行から、五色の鬼が出ると言う考え方もあるようだが、足込の茂吉鬼は珍しい。茂吉鬼は、槌をとって、びゃっけに吊るされている蜂の巣を落とす。蜂の巣には小銭が入っており採ったものにはご利益があるというので、皆先を争って取りに行く。

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DSC_ashi0169 posted by (C)dankichi0423
(足込の花 おまつりの後で…)

  午後になり、最後、獅子が出た。「しーしよししよ しーしよししよ」と声をかけ、獅子は舞庭を巡る。途中ゆたぶさを咥え、湯ばやしをする。その後は、子ども達を噛んでやり、無病息災を約束する。すべての舞が終わった。外を出ると、暖かい日差しが差し、銀杏の木はほんのり色が付き始めていた。



※この度の写真掲載に当たり、足込花祭保存会の許可を得て掲載いたしました。また、同保存会伊藤克明様には、掲載許可及び当日の接待などにおいて大変お世話になりました。この場を借りて篤く御礼申し上げます。
  
  
 
  
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comments

足込にはまだ行ったことがありません。おかめに覆い被さっている写真はリアルですね。「まぐわう」という言葉、初めて聞きました。下粟代のすりこぎも昔は男性のシンボルの形をしていました。生殖の擬似表現が五穀豊穣、子孫繁栄を祈る祭りって、全国色々ありますね。愛知県小牧市の田縣神社の「豊年祭」も15日にあります。

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