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奥三河の賦 松迎から門はやし ー正月祭り―
Fri.08.03.2013 Posted in 風土
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  師走も押し迫った、平成24年12月30日(日)、31日(月)愛知県北設楽郡東栄町振草に赴いて、「松迎え」、「門はやし」と呼ばれる、正月飾りである門松を立てるまでの様子を取材させて頂いた。
  東栄町は、奥三河と呼ばれる地域で山々が幾重にも重なり、振草は山間の谷間に位置する。谷間に位置する当地では、山の斜面を背にして前に石垣が積まれるか、裏の斜面を掘り下げて平地を作り屋敷地とする例が多い。日当たりがよく、水都合が便利で、家の周囲に耕地が得られることを条件に、多くが東向きから南向きに位置取りされている。
  一般の農家は母屋(居住部)と釜屋(勝手等)が一体になっており、屋根は切妻の瓦屋根(かつては木の皮葺屋根が主流だった。)、間取りは母屋にでい、茶の間、へや、だいどこ、土間が田の字型に配置されている。東栄町など含めて花が行われる当地では、かつて、母屋の土間に竈をしつらえて、一昼夜にわたって、花が行われたのである。
  新正月、東栄町では、屋敷に門松を立てる。門松は神の依代で、屋敷入口の前の庭に二本ないしは三本立てる。地面に端杭と呼ぶ常緑樹の幹を立て、そこに仏式であれば、シキミ、マツ、タケを、神式であれば、サカキ、マツを添え、注連を張って紙垂を付ける。それぞれの両端にはヤスと呼ばれる円錐形の藁製のつとを付けるのが一般的である。

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DSC_kado0061 posted by (C)dankichi0423
(東栄町振草某集落Oさん家の門松 神式である)

  私が訪ねた振草の某集落では、集落のほとんどが神式であり、二本の端杭にサカキ、マツを添え、注連を張って、紙垂を付け、ヤスを両端に付ける。ヤスには、元旦に雑煮と餅をいれるのだそうだ。

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DSC_kado0003 posted by (C)dankichi0423
(注連縄をない、「門はやし」の準備をすすめる)

  年末近くなると、合間を見て、注連縄をなったりヤスを作り、紙垂を切る。門松だけではなく家中の祭り物を新しくするため、手間と時間が大変かかる。

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DSC_kado0001 posted by (C)dankichi0423
(「松迎え」屋敷林で、枝ぶりの良いサカキを切る)

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DSC_kado0002 posted by (C)dankichi0423
(「松迎え」屋敷にサカキを下ろす)

  年末30日、雨の中であったが、屋敷裏の屋敷林に赴いて、サカキを求めに行った。マツは既に、当家のお爺様が、良いものを取ってこられていた。山を登って登って、ようやく枝ぶりのよいサカキを見つけ、切り倒した。4本ほど切り倒し、山から降ろす。これを「松迎え」という。

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DSC_kado0008 posted by (C)dankichi0423
(「門はやし」庭にサカキとマツを立てる)

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DSC_kado0016 posted by (C)dankichi0423
(「門はやし」注連縄を張る)

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DSC_kado0018 posted by (C)dankichi0423
(「門はやし」紙垂を付ける)

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DSC_kado0059 posted by (C)dankichi0423
(「門はやし」ヤスを付ける)

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DSC_kado0062 posted by (C)dankichi0423
(「門はやし」門松の完成)

  明けて大晦日の31日、曇り空の雪まじりの中、「ようし、じゃあ門はやしまくるぞん。」とOさんの号令の中、「門はやし」を始めた。「門はやし」とは、門松を立てることである。切り倒したサカキとマツを水場から持ってきて、まず玄関の前の庭に端杭を二本立て、そこにサカキとマツを立てる。そして、注連縄を張り、紙垂を付けて、ヤスを両端に付けて、門松は完成である。

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DSC_kado0025 posted by (C)dankichi0423
(「門はやし」先祖墓をまつる)

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DSC_kado0028 posted by (C)dankichi0423
(「門はやし」水口をまつる)

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DSC_kado0032 posted by (C)dankichi0423
(「門はやし」屋敷神をまつる)

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DSC_kado0044 posted by (C)dankichi0423
(「門はやし」蔵をまつる)

  次に屋敷墓や古墓にも両端にサカキとマツを立て、注連縄を張り、紙垂を付けた。そしてサカキとマツを持って山へ向かい、まず水口にサカキとマツを立て、「輪ジメ」という輪の注連縄に紙垂を付けたものを付ける。また山墓にもサカキとマツを立てて「輪ジメ」を付けた。そしてさらに山を登り、屋敷神には、両端にサカキとマツを立て、注連を張って紙垂を付けた。山を下りて、倉と井戸には、サカキとマツを立て、「輪ジメ」とヤスを付ける。隠居所、炭焼小屋、作業所、ビニールハウス、便所、車庫にはサカキとマツを立て、「輪ジメ」を付ける。

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DSC_kado0037 posted by (C)dankichi0423
(「門はやし」おくでい、先祖や諸神を祭る)

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DSC_kado0041 posted by (C)dankichi0423
(「門はやし」大黒柱にも門松を立てる)

  その次に家に入り、先祖様を祀る「おくでい」の注連縄を張り替え、紙垂を付け替えた。また恵比寿様も同じく取り替えた。そして、これはこの地域独特の風習だが、大黒柱にサカキを立てて、そこに「輪ジメ」とヤスを付けた。
  「門はやし」とは、屋敷内外のあらゆる神々をはやして、明くる年を迎える正月行事である。これほどまでに、神々や祖霊を大切にする風習は、大変ながら、本当に素晴らしい。正月明け、花の帰りに、町内のあちこちで「門はやし」た門松を見て、諸神、祖霊と身近に生活する人々の営みに、心動かされた。



※参考文献:「東栄町誌―自然・民俗・通史編」
※この度の取材・写真掲載に際して、愛知県北設楽郡東栄町振草のOさんのご協力、ご了解を頂きました。年末のお忙しい中、ご協力、本当にありがとうございました。この場を借りて、厚く御礼申し上げます。
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